腸内細菌の話
日曜のNHKスペシャルで腸内細菌と免疫の話をしていました。
腸内には細菌がたくさん住みついていて(100兆個以上)、この腸内細菌が人体にとって欠かせない様々な役割を担っていることがわかってきています。中には人体に良くない作用をするものもいます。
なんでも一括りにするのは良くないのですが、いわゆる善玉菌とか悪玉菌とか呼ばれるものですね。
今回、腸は「免疫を司る臓器」として、免疫機能を鍛えるだけでなく、免疫機能の暴走を抑制する仕組みも備えていることが紹介されていました。
自己免疫疾患やアレルギー疾患は、自分の体や無害な物質を有害な物質として攻撃してしまう、免疫細胞の暴走が原因であると考えられています。この暴走の陰には、腸内細菌のバランスの異常があるとの研究結果があります。
免疫細胞が暴走してしまう人の腸内細菌は、あるクロストリジウム属の菌が極端に少ないそうです。
このクロストリジウム菌が、免疫細胞を落ち着かせる物質を放出して、免疫細胞の暴走を抑制する「Tレグ」と呼ばれる細胞を作るそうです。
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Tレグが増えてしっかり働くことにより、自己免疫疾患やアレルギー症状の改善が期待されます。すでに食生活の改善により、アレルギー症状が改善したとの報告があるそうです。
横浜市にある總持寺の若い修行僧へのインタビューで、花粉症やアトピー性皮膚炎が改善したとの話がありました。その修行僧の便を調べたところ、クロストリジウム菌がしっかりと住み着いていたとの結果が出ました。
鍵は食物繊維だそうです。修行僧は、1日20g程度の食物繊維を摂取しているそうです。
マウスの実験で食物繊維とクロストリジウム菌の関係が明らかになったそうです。
少し前まで日本人の食生活は食物線維が豊富でしたが、現在はそれほど多くの食物繊維を摂取していません。そのため免疫の暴走が多くなり、自己免疫疾患やアレルギーの人が多くなっているようです。
また自己免疫疾患の患者さんに対して、クロストリジウム菌が作り出す物質を投与することで症状が改善されるという、マウスの実験の結果もあります。現在、ヒトでも試験が行われているそうです。
近い将来、薬として世の中に出てくるかもしれませんね。
今回の番組では、腸内細菌と免疫細胞のお話だけでしたが、そのほかにも消化吸収に関する作用や、性格にも影響するとの研究もあります。これらも以前どこかの番組で放送されていました。
まだまだ分かっていないことだらけなことは間違いありません。
とりあえず私たちがすぐにできることは、豆、きのこ、イモ、根菜類、海藻類を積極的に摂取することですね。腸内細菌を元気にするために、毎日納豆でも食べてみようと思います。