認知症の方の行動について⑤
杉山先生は「認知症の人の言動の大部分は二次的な言動、つまり周囲の人の言動に対する反応(リアクション)である」、また認知症の方に接するものが、次にあげる「認知症の人の激しい言動を理解するための3原則」に抵触した場合に、認知症の人は激しい反応をとると考えておられます。
「認知症の人の激しい言動を理解するための3原則」
①本人の記憶になければ本人にとっては事実ではない。
食事したことを忘れる。今話したことも忘れる。言われてみれば思い出すレベルではなく、きれいさっぱり忘れます。そうなればこちらが何を言っても、その人にとって事実ではなくなってしまいます。
②本人が思ったことは本人にとっては絶対的な事実である。
まだ食事をしていない。この人が私の財布を隠した。私の夫はこんなに年寄りではない。など、思い込んだらその人の事実になってしまします。もちろん本当は違いますが、説得しようものならますます反発することになりかねません。
③認知症が進行してもプライドがある。
自分より若い人から子供扱いされるような言葉や態度には、腹を立てて怒り出すことがあります。
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私たちも、記憶にない出来事や約束をあれこれ言われたら、不快に感じることがありますよね。記憶にないことを押し付けられると、断固拒否したくもなります。
10代20代の若者から子供扱いされたら、正直腹を立てると思います。
私たちはその状況を確認したり、腹を立ててもグッとこらえることができます。
しかし認知症の方はこれらができなくなっているため、激しく反発したり腹を立てたりするわけです。
自分のことや周囲の状況がわからなくなる。
感情のコントロールができなくなる。
この状況ってとても不安に感じますよね、きっと。
知らないうちに誰かに迷惑をかけているかもしれない。
親しい人から疎ましいと思われるかもしれない。
社会から孤立してしまうかもしれない。
そんな不安を理解して接することが大切だと思います。
私もこれらのことを踏まえて、認知症の方を接していきたいと考えております。
よく「年を取ると子供に戻る」と言われます。
様々な能力が低下して頼りなくなり、生活、歩行、食事、排せつが自分ではできなくなってしまうためでしょう。性格も変わってわがままにもなります。特に認知症の方には当てはまるように思います。
認知症の方の人生を尊重しつつ丁寧に接すると、より良い関係が築けるのかもしれませんね。
だらだらと長くなりましたが、認知症のお話を最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました。